2015年 8月 25日(火)
8月17日(月)に、キヤノン アスリート クラブ 九州(CACK)が合宿を行っている大分県竹田市久住にて、大分県出身で陸上競技のパラリンピック日本代表であり、国際的にも活躍をされている中西麻耶選手から、CACKの選手を対象に講演していただきました。その様子をレポートします。
なお、この講演には同じく久住地区で合宿を行っている高校生や大学生も参加しました。
中西さんはご自身のこれまでの経験を踏まえて話をされ、まず「ポジティブシンキング」と「ネガティブシンキング」について、そしてそれを「価値観」という視点で捉えたらどうか、例え話を用いながら選手たちに問いかけました。
砂漠で水が一本しかない状況では、「まだ1本もある」「あと1本しかない」というそれぞれの考え方があり、「あと1本しかない」という考え方は通常であればネガティブシンキングと捉えがちだが、「置かれている状況が砂漠であるということを考えると、水の価値を高く感じることができるのは後者である」という内容でした。
アスリートとして練習の内容や試合結果などでネガティブになった経験は誰しもありますが、環境や状況によって価値観は大きく変わり、それを自分たちがどのように捉えていくことが大切かを考えさせられるものでした。
続いて、個性や勇気などについても話をされ、「ほかの選手たちと比較すること(良い部分や悪い部分など)をすべて取り除いて最後に残るもの(人と違う部分)が個性である」ということや、「勇気はそれぞれに有るか無いかではなく出すもの」であること、失敗から学ぶことが大切で「失敗があるから成功に繋がる」ということなどの話に、選手たちは真剣な面持ちで耳を傾けていました。
特に「自分自身を好きになること」が一番大切であるという話には、多くの選手が共感していました。
質問コーナーでは、選手からの「長く競技を続ける中で壁にぶつかった場合はどう考えていますか?」という質問に対し、中西さんは「壁と感じている時点で伸び代があるということ、本当に限界がきたと感じている選手はもっとすっきりしているはず。まだ壁が来てくれているということを喜ぶようにしている。」と答えられていました。
最後に下藤キャプテンと衞藤監督が謝辞を述べ、「ここにいる皆が同じ競技を通じて活躍を喜びあいたい」と伝え、選手たちからは「気持ちを新たに頑張ろう」という意気込みが感じられました。
中西麻耶さん、本当にありがとうございました。
中西麻耶さんプロフィール
義足(右下腿切断)の陸上競技選手で、2008年北京パラリンピック、2012年ロンドンパラリンピックの日本代表。大分県由布市庄内町出身で、高校時代は明豊高校でソフトテニス部に所属しインターハイや国体への出場も果たしている。
2006年、仕事中の事故で右足の膝から下を切断、義足となり最初は自分の体重を支えることさえままならなかったが、速く走るための一環として陸上競技を始め、初めて出場した2007年の大会で100mと200mの日本記録を樹立。北京パラリンピックでは、100mで6位、200mでは4位という義足の女子スプリンター選手として初めて入賞するなど成績を残す。2014年のジャパンパラ大会では走幅跳の最初の跳躍で日本記録を樹立し、次の跳躍は追い風参考となるも5m33の大跳躍。
現在は自らスポンサーを探しながらリオパラリンピック、そして東京パラリンピックを目指し競技に取り組む。
100m | 200m | 走幅跳 |
---|---|---|
13″84 | 28″52 | 5m27 |
T44クラス
200m | 400m | 走幅跳 |
---|---|---|
28″52(+1.3m) | 68″67 | 5m27(+0.5m) |
T44-46クラス
4×100mR |
---|
56″76 |
2014年
100m | 走幅跳 |
---|---|
9位(14″85) | 3位(5m27)※1位は5m47 |
2015年
100m | 走幅跳 |
---|---|
13位(14″85) | 2位(4m96) |